
倉庫スペース不足を解消する在庫削減3つの戦略│分析手法で見える化
「倉庫のスペースが不足しているため、新しい倉庫を借りるしかないのでは?」
そんな声をよく聞きます。
在庫削減に踏み切れない企業も多く、社内リソース不足で改善が進まないこともあります。
ですが、戦略的な在庫見直しで、倉庫の問題は解決に近づきます。
本記事では、安全在庫の見直し、ABC分析、T字分析の3つの手法を使い、
効率的で無理のない在庫削減の方法と効果を解説します。
目次[非表示]
倉庫スペース不足が引き起こす問題
倉庫のスペース不足はコスト面と業務面の両方に悪影響を与えます。
- 人件費の増加
スペースが不足すると必然的に作業が非効率になり、結果としてより多くの人手や時間が必要になる - 顧客満足度の低下
狭いスペースでの作業は混乱を招きやすくピッキングミスや誤出荷が増える - 資金繰りの悪化
不動在庫が増えて資金が滞る - 安全性の低下
物が詰まりすぎると作業者の動線が悪化し事故やケガのリスクが高まる
だからこそ、「戦略的に在庫を減らす」ことが大切です。
倉庫スペース不足時の在庫削減3本柱
1. 安全在庫の見直し
「念のため」に多めに設定した安全在庫が、倉庫を圧迫していることがあり
多くの企業で余分に置く習慣が根付いています。
過去の出荷データや需要に合わせて調整するだけで、削減効果が出やすいポイントです。
まずは安全在庫の見直しから始めましょう。
ここで「どの商品を優先して見直すか?」という疑問が出てくる場合があります。
その次のステップがABC分析です。
2. ABC分析で優先順位をつける
商品を出荷頻度や売上でA・B・Cランクに分けます。
- Aランク商品(売れ筋の商品や主力商品)
→常に在庫を確保して、顧客満足を守る - Bランク商品(中程度の売上や出荷頻度を持つ商品)
→需要に応じて柔軟に調整する - Cランク商品(売れ行きが低い、またはほとんど売れていない商品)
→削減や廃止の候補とする
このように分類すると、どの在庫から手をつけるべきかが一目で分かります。
たとえば「A商品は欠品させない」「C商品は思い切って減らす」といった判断がしやすくなります。
安全在庫を減らすときも、ABC分析を組み合わせると無理のない削減が進められます。
3. T字分析で過剰在庫を見える化する
ABC分析で商品をA・B・Cのランクに分類し、どの商品群を優先して管理するかが分かったら
次のステップは、各ランクの中で具体的にどの商品が過剰在庫を抱えているかを把握することです。
ここで役立つのがT字分析法です。
T字分析は
左側に平均出荷数(1日あたりの出荷量)を
右側に平均在庫数(実際に倉庫にある平均在庫量)を
棒グラフで並べて比較し、在庫の過不足を視覚的に把握する分析手法です。
なお、今回の前提として、納品リードタイムは1日として
今日発注すれば翌日には商品が入荷される状況を想定しています。
視覚化することでわかることは、
平均在庫数が多いのに平均出荷数が少ない商品→ 過剰在庫の可能性が高い
ということです。
このグラフを使えば、一目で「どの商品に無駄な在庫が多いのか」
また、「どの商品に欠品のリスクがあるのか」がわかり、優先的に改善すべき商品を効率よく特定できます。
事例紹介:食品取扱事業所の在庫適正化改善
預託在庫の過剰保管により倉庫スペースのひっ迫に悩んでいたある事業所では
T字分析を活用して預託在庫の過不足を可視化し、適正在庫の実現に取り組みました。
具体的には、1か月間の平均出荷数と在庫数をグラフ化し、必要量と過剰在庫を明確化しました。
荷主様、ベンダー様とセンターでの共通理解が深まり在庫適正化を実現しました。
その結果、2018年度の35万ケースから2021年度には32万ケースへ約8.6%削減し、倉庫スペースを改善。
このように、当社では、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ持つ」という
トヨタ式改善のジャストインタイムの考え方を強く重視しています。
倉庫スペース不足に関するよくある質問
Q. 安全在庫の見直しはどう進めればいいですか?
A.過去の出荷データをもとに、安全在庫が多すぎないか確認します。
売れ筋の商品は十分に確保しつつ、売れにくい商品は減らすのがポイントです。
Q. ABC分析とT字分析はどちらを先に使うべきですか?
A.まずABC分析で商品をランク分けし、次にT字分析で各ランク内の過剰在庫や欠品を詳しく確認します。
Q. 在庫を減らすと欠品が増えませんか?
A.戦略的に管理すれば欠品リスクは抑えられます。売れ筋商品は安全在庫を確保し
無駄な在庫だけを減らすことが大切です。
まとめ:戦略的な在庫管理が未来を変える
倉庫のスペース不足はコスト増加や業務効率低下
さらには顧客満足度の低下といったさまざまな問題を引き起こします。
だからこそ、闇雲に在庫を減らすのではなく、「戦略的に在庫を見直すこと」が重要です。
在庫管理は複雑ですが、専門知識と戦略的手法で確実に改善可能です。
当社は、トヨタ式改善の「実践力」を強みに
これまで多種多様な業界で物流センター運営の改善を3PLでサポートしてきました。
品質向上はもちろん、自動化・見える化の導入まで幅広く対応し、多くの実績を積み重ねています。
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