
CLOとは?物流分野で求められる理由と2026年法改正による影響
物流を取り巻く環境は、いま大きな転換点を迎えています。
人手不足や輸送コストの上昇、「物流2024年問題」を経て、2026年には改正物流効率化法が本格施行され、荷主企業に求められる役割と責任がこれまで以上に明確化されました。
こうした変化の中で注目されているのが、CLO(Chief Logistics Officer)です。CLOは、現場の物流管理にとどまらず、物流を経営課題として捉え、全体を統括する責任者を指します。
本記事では、CLOの役割や求められる背景、そして2026年の法改正が企業の物流体制に与える影響について解説します。
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1. CLOとは?物流における役割を解説

CLOとは Chief Logistics Officer の略で、日本語では「物流統括責任者」「物流統括管理者」などと表現されます。
近年、物流が経営課題として扱われる中で、その重要性が急速に高まっているポジションです。
物流分野におけるCLOは、倉庫運営や輸送管理といった現場業務を管理するだけの役割ではありません。
物流を経営視点で捉え、コスト・品質・リスクを含めた全体最適を図ることが求められます。
1-1 CLOの主な役割
CLOに求められる役割は、主に以下のようなものです。
物流戦略の立案・実行
中長期視点での物流体制構築や、事業戦略と連動した物流施策の推進物流コストとサービスレベルの最適化
コスト削減だけでなく、納期・品質・安定供給とのバランスを重視した判断倉庫・輸配送・在庫の全体最適
部分最適に陥らないよう、倉庫、輸送、在庫を横断的に統括3PL(外部物流)活用の統括
外部パートナーの選定・管理を含めた物流アウトソーシング戦略の統括リスク管理・BCP対応
災害や輸送トラブル、人手不足などを想定した物流リスクへの対応
1-2 CLOが担うポジションの重要性
このように、CLOは物流を単なる「現場オペレーション」としてではなく、
企業の競争力や持続的成長に直結する「経営課題」として統括する存在です。
人手不足やコスト上昇、法規制強化が進む中で、物流を横断的・戦略的にマネジメントできるCLOの役割は、今後ますます重要になっていくといえるでしょう。
2. なぜ今、物流分野でCLOが注目されているのか
これまで多くの企業では、物流は「コスト管理の対象」として捉えられ、日々の判断は現場や物流部門に委ねられるケースが一般的でした。しかし近年、その考え方そのものが限界を迎えつつあります。
背景にあるのが、物流を取り巻く環境の急激な変化です。
- ドライバー不足の深刻化
- 運賃・人件費の継続的な上昇
- 納期遵守や品質に対する要求水準の高度化
- 自然災害や地政学リスクの増大による供給不安
これらの課題は、個々の倉庫や輸送現場の工夫だけで解決できるものではありません。
輸送条件の見直しや在庫戦略の変更、外部物流(3PL)の活用、さらには取引条件の再検討など、経営レベルでの意思決定が不可欠な領域に広がっています。
そのため、物流を「現場管理」ではなく「経営課題」として捉え、倉庫・輸配送・在庫・外部委託を横断的に統括できる存在として、CLOの必要性が高まっているのです。
3. 2026年施行・物流効率化法とCLOの関係
CLOは「努力義務」から「事実上の必須機能」へ
こうした環境変化の中で、その流れを決定づけたのが、2026年4月に施行される改正物流効率化法です。
この法改正により、一定規模以上の荷主企業(特定荷主等)には、物流に対するより主体的かつ継続的な関与が求められるようになりました。
具体的には、以下の対応が必要となります。
- CLOの選任
- 物流効率化に向けた中長期計画の策定
- 荷待ち時間や積載効率などの継続的な把握・報告
これまでCLOの設置は、企業努力や自主的な取り組みと捉えられる場面も多くありました。しかし今回の法改正を受け、CLOは「形式的に設置すればよい役割」ではなく、実効性を伴う機能として求められる存在へと位置づけが大きく変わっています。
特に重要なのが、CLOは経営判断に関与できる立場、すなわち役員級クラスから選任することが想定されている点です。
現場レベルの担当者を形式的に配置するだけでは、物流全体に関わる意思決定や改善の実行が難しく、法改正の趣旨を満たすことができません。
この改正により、物流は「運用を管理する部門」ではなく、経営が責任を持って統括すべき領域として、明確に位置づけられたといえるでしょう。
その中核を担う存在として、CLOの役割と重要性は、今後さらに高まっていくことが想定されます。
4. 物流を全社で動かすためのCLOという存在
今回の改正物流効率化法は、単なる制度変更ではありません。
その本質は、
「物流の効率化は、もはや物流会社だけの問題ではない」
という、国から荷主企業に向けた明確なメッセージにあります。
これまで物流の課題は、現場や運送会社側の努力によって支えられてきました。
しかし実際には、物流の効率や安定性は、荷主企業の意思決定と切り離して考えることはできません。
物流は、
- 営業の納期設定
- 生産計画や製造スケジュール
- 調達ロットや発注頻度
- 出荷量や出荷タイミングの設計
といった、企業活動の根幹となる判断と密接に結びついています。
これらは物流部門や外部委託先だけでコントロールできるものではなく、
部門を横断した全社的な意思決定があってはじめて最適化できる領域です。
今回の法改正は、こうした現実を踏まえ、
物流を「現場任せ」や「調整業務」として扱うのではなく、
経営が責任を持って統括すべきテーマとして位置づけたものといえるでしょう。
その中核を担う存在が、CLOです。
CLOは、物流を起点に全社を横断し、経営判断と現場実行をつなぐ役割を担います。
法改正が意味するのは、
「物流も経営が直接向き合う時代に入った」という事実であり、
CLOはその実行を支えるための、不可欠なポジションとなりつつあります。
5. CLOと3PLの関係|法改正後に変わる「物流」の役割

多くの企業では、倉庫運営や輸配送といった物流業務を、3PL(Third Party Logistics:外部物流事業者)に委託しています。
これまでの物流においては、「3PLに任せているから問題ない」という考え方が成り立つ場面も少なくありませんでした。
しかし、改正物流効率化法の本格施行後は、その認識を改める必要があります。
なぜなら、法対応において求められる多くの情報や実態データは、3PLが日々の運用の中で把握・管理しているものだからです。
具体的には、次のような項目が挙げられます。
- 荷待ち時間・荷役時間の実態
- 積載率や車両の稼働状況
- 実運送体制や再委託構造の把握
これらは、荷主企業が自ら現場を持たずに把握・管理することは難しく、3PLとの連携なしには正確な把握ができません。
つまり、「委託している」というだけでは、法改正で求められる説明責任を果たすことができなくなります。
ここで重要な役割を果たすのがCLOです。
CLOは、3PLを単なる業務委託先として管理するのではなく、必要なデータを共有し、課題を可視化しながら改善を共同で進めるパートナーとして統括する役割を担います。
法改正後の物流においては、
「3PLに任せる」から「3PLと一緒に物流を最適化する」へ。
その関係性を設計・マネジメントすることが、CLOに求められる重要な役割の一つとなります。
6. 物流CLOを設けることで得られるメリット

物流分野にCLOを設置することで、企業の物流体制は単なる運用管理から、経営戦略としての物流へと進化します。具体的には、次のようなメリットが期待できます。
6-1 物流ガバナンスの強化(法改正対応を含む)
改正物流効率化法への対応をはじめ、物流に関する責任の所在を明確にし、全社的な統制を図ることができます。
CLOが中心となることで、形式的な対応ではなく、実効性のある物流管理体制を構築できます。
6-2 物流コストの構造的な見直し
個別施策による一時的なコスト削減ではなく、
倉庫・輸配送・在庫・外部委託を横断した視点で、物流コストの構造そのものを見直すことが可能になります。
6-3 サービス品質の安定・向上
納期遵守や品質のばらつきといった課題に対して、現場任せではなく全体設計として改善を進めることで、
顧客満足度の維持・向上につながる安定した物流サービスを実現できます。
6-4 経営判断と現場実行のスピード向上
CLOが経営と現場の橋渡し役を担うことで、
意思決定から現場への反映までのスピードが向上し、環境変化への対応力が高まります。
6-5 中長期視点での持続可能な物流体制構築
人手不足やコスト上昇、リスク増大といった構造的課題に対し、短期対応に終わらない中長期の物流戦略を描くことが可能になります。
2026年以降、物流を経営課題として捉え、CLOを設けているかどうかは、
法対応力だけでなく、物流競争力そのものの差として、企業間に明確に表れていく局面に入っています。
7. まとめ|CLOはこれからの物流経営の中核
2026年の改正物流効率化法をきっかけに、企業には物流の考え方そのものの見直しが求められています。
その場しのぎで、委託先任せの物流運営から脱却できるかどうかが、今後の物流競争力、ひいては企業の持続的な成長を左右することになります。
これからの物流においてCLOは、
コンプライアンス対応と競争力強化を同時に実現するキーパーソンとなる存在です。
重要なのは、現場で起きていることやデータ、改善のヒントを、
経営が次の一手を決めるための材料に変えられるかどうかです。
この点に、CLOが物流を経営テーマとして扱えているかどうかの差が明確に表れます。
特に3PLを活用する企業にとっては、
- 現場の実態が可視化されているか
- 法改正に耐えうる物流データが揃っているか
- 改善を前提とした対話ができるパートナーか
といった点が、CLOの判断や施策の実効性を大きく左右します。
当社の3PLは、単に物流業務を請け負う存在ではありません。
CLOが全体を統括するための土台となる「現場・データ・改善視点」を支えるパートナーとして、多くの荷主企業の物流改善に関わってきました。
2026年の法改正を見据え、
- これからCLOを選任する企業
- CLO体制を本格的に機能させたい企業
にとって、CLO視点で伴走できる3PLの存在は、今後、企業経営における存在感は一層高まっていくと考えられます。
物流を「任せる」フェーズから、「経営で使いこなす」フェーズへ。
当社の3PLは、CLOを中心とした物流体制づくりにおいて、実行面からその一翼を担うことが可能です。



