catch-img

物流倉庫の入荷作業を改善する方法|工程設計から見直す“作業改善”の進め方

改善したのに、生産性が上がらない。
教育を進めても、仮置きが減らない。
WMSを導入したのに、入荷エリアが滞留する。

現場では、こうした課題が頻繁に発生します。

作業は見直しているはずなのに、残業や荷待ちが解消しない。

この原因は、作業者の努力不足ではありません。
多くの場合、工程そのものの設計にあります。

入荷改善は、作業改善だけでは完結しません。
まずは物量の波動(ムラ)を抑えることが重要であり、その次に「工程設計」の見直しが重要です。
 
本記事では、平準化を前提としたうえでセンター内の作業改善について解説します。

 

 

▼まず取り組むべき平準化についてはこちらの記事で紹介しています。

▼物流現場の改善、どこから手を付けるべきか迷っていませんか?

「作業は見直しているのに成果が出ない」「トヨタ式改善を物流にどう落とし込めばいいか分からない」
そんな方に向けて、当社が実践してきたトヨタ式改善の考え方と、物流現場での具体的な改善事例
まとめた資料をご用意しています。
>【トヨタ式改善に学ぶ物流現場の改善とは】資料ダウンロードはこちら(無料)

物流倉庫の入荷改善で生産性を高める方法|構造設計の重要性

まず最優先は入荷量の平準化

入荷改善において最も重要なのは、入荷ロットや時間帯の平準化です。

(平準化とは?)
波動(ムラ)を小さくするという考え方のことです。
物流の流れを安定して運営するためには、入出荷や作業量の波動(ムラ)を小さくすることが重要です。

入荷が特定の曜日や時間帯に集中すると、現場の処理能力を一時的に超えてしまいます。

その結果、以下のような工程待ちが発生します。

バース待ちが発生
検品待ちが発生
格納が遅延する

物流倉庫の入荷改善で生産性を高める方法|次に見直すべき工程設計

一方で、平準化を進めた後も
仮置きが減らない、検品待ちが解消しない、入荷エリアが滞留する・・・
といった状態が発生する場合があります。

このとき問題となるのが、センター内の工程設計です。

入荷作業は、以下の工程で構成されます。

入荷・荷受

  • トラックの接車
  • 納品書の受領
  • 荷下ろし・一時搬入

検品

  • 数量・品目チェック
  • 破損・汚損確認
  • 帳票・データとの照合

格納(入庫)

  • 保管ロケーションの確定
  • 搬送・棚入れ
  • 在庫反映

これらの工程は、いずれか一工程の処理が遅れると、全体のリードタイムに影響します。
 
実際の現場では、総作業時間の多くは、移動や待機といった付帯作業が占めています。

 

これらの付帯作業の多くは、工程間で処理待ちが発生することによって生じます。

 

そのため、工程間の待ち時間が多い状態では
作業手順を改善しても生産性向上にはつながりません。

それぞれの作業手順を見直す前に
工程設計を整理することが改善成果を出すために重要です。

 

POINT

01

工程設計①|作業動線の見直し

見るべきポイントは以下の通りです。

荷受 → 検品 → 格納の距離
仮置きの発生位置と回数
人とフォークリフトの交錯

入荷工程の改善に着手する際、最初に見直すべきなのが作業動線です。
 
荷受から検品、格納までの距離が長い状態では
作業手順を標準化しても処理能力の向上には限界があります。
 

たとえば、検品工程が荷受エリアから離れている場合、
一度仮置きを行ってから再搬送するなど不要な移動が日常的に発生してしまいます。
 
こうした二重搬送は、作業そのものよりも移動に時間を取られる要因となり
現場全体の処理スピードを低下させます。

  

そのため、実務上は以下のようなレイアウトや運用設計の見直しが有効です。

 

  • 検品工程を荷受と近いエリアに配置する
  • 仮置きエリアを「例外処理専用」として限定する
  • 人・フォークリフトともに一方通行動線を設け、逆流を防ぐ
  
移動距離は作業者の努力では縮められない、設計でしか解消できないムダです。

POINT

02

工程設計②|検品と格納の役割分担(並行処理)

入荷作業では、検品から格納までを同一の担当者が処理しているケースも少なくありません。
 
しかし、この運用では一方の作業に着手している間、もう一方の工程が止まってしまい
結果として工程待ちが発生しやすくなる場合があります。
 

具体的には、以下のような状態が起こります。
検品中は格納が止まる
格納中は検品が滞る
工程待ちが連鎖する
このような状況では、作業負荷が分散されず、入荷エリア全体の滞留につながる可能性があります。

 

そのため、実務上は検品担当と格納担当の役割を分け
並行して作業を進められる体制を整えることが有効です。
 
あわせて、格納先ロケーションを事前に割り付けておくことで
検品完了後すぐに搬送できる状態を作ることができます。
 
一方で、物量が極端に少ない現場や、多能工による柔軟な対応を前提とした小規模倉庫では、役割分担がかえって非効率となる場合もあるため、運用条件に応じた判断が重要です。

工程設計を前提としたWMS導入の考え方

WMS導入や自動化は物流現場の効率化に重要な要素ではありますが、順番が重要です。
 
入荷改善の手段としてWMSの導入を検討する企業も多い一方で
現行の工程設計を見直さないままシステム化を進めてしまうケースも少なくありません。
 
この場合、既存のムダな動線や非効率な運用ルールがそのままシステムに組み込まれ
かえって作業負荷を増幅させてしまう可能性があります。
 
設計が整理されていない状態で導入を進めた場合、現場では以下のような問題が発生しやすくなります。

現行の非効率な運用を
前提にWMSを導入してしまう
ムダな作業手順が
システム上で固定化される
作業の柔軟な
調整が難しくなる
こうしたリスクを避けるためには、
導入前に現場の設計条件が整理されているかを確認することが重要です。

 

判断の目安としては、物理的な作業動線が整理されているか
また作業ルールが現場内で言語化・標準化されているかといった点が挙げられます。
これら2点が整っていない場合は、先に工程設計の見直しを行い、そのうえでシステム導入を検討する方が合理的です。
 

物流倉庫の入荷改善で生産性を高める方法|改善の進め方

01

現状把握

入荷改善では、作業の見直しに入る前に現場の状態を整理することが重要です。

工程ごとの処理能力や、待ち時間・滞留が発生している箇所を
把握することで、改善すべきボトルネックが明確になります。

02

設計判断
次に、作業距離や設備配置、役割分担といった工程設計を見直します。

入荷量の波動も考慮しながら、工程間の負荷バランスを整えることで
改善効果を現場全体へ波及させやすくなります。

03

作業改善・教育
最後に、見直した工程設計に基づいて作業手順や運用ルールの標準化を進めます。

設計を変えずに作業改善から着手すると
運用が複雑化し、改善が長続きしないケースも見受けられます。

▼当社が実践するトヨタ式改善の考え方をまとめた資料を
無料で公開しています。ぜひ貴社の物流現場改善にお役立てください。
>【無料】トヨタ式改善に学ぶ物流現場の改善とはダウンロードはこちら

物流倉庫の入荷改善で生産性を高める方法|よくある質問

Q1. 入荷の平準化と作業改善はどちらを先に進めるべきですか?

まず入荷量や時間帯の平準化に着手することが重要です。

入荷が集中している状態では、作業手順を改善しても工程待ちが解消されません。

そのため、

① 平準化
② 工程設計
③ 作業標準化

の順で進めることが望ましいです。

 

Q2. WMSを導入すれば、入荷作業の生産性は向上しますか?

WMSは可視化や在庫精度の向上に有効です。

ただし、動線やレイアウトを見直さないまま導入すると、
非効率な運用が固定化される恐れがあります。

導入前に、作業動線の整理、役割分担の見直しを行うことが重要です。

 

Q3. 仮置きが常態化している場合は、どこを見直すべきですか?

仮置きが多い場合、工程間で処理待ちが発生している可能性があります。

例えば、

・格納先が未確定
・検品〜格納の距離が長い

といった状態です。

格納ロケーションの事前割り付けや、
工程の役割分担を見直してみましょう。

 

物流倉庫の入荷改善で生産性を高める方法まとめ

物流倉庫における入荷作業の改善では
作業手順の見直しだけでは生産性向上につながらないケースも少なくありません。

まずは入荷ロットや時間帯の平準化により
工程能力を超える負荷の発生を抑えることが重要です。

そのうえで、センター内の工程設計を整理することで
移動や待機といった付帯作業を削減できます。

本記事では、入荷作業の改善を進めるポイントとして
以下の内容を解説しました。

  • 入荷改善では、まず平準化への着手が重要
  • 平準化後も滞留する場合は工程設計の見直しが必要
  • 動線の長さや仮置きの発生は設計上の問題
  • 検品と格納の並行処理が工程待ちを防ぐ
  • WMS導入は設計整理後に行うことが望ましい

入荷改善では、① 入荷量の平準化② 工程設計の見直し③ 作業手順の標準化
という順番で進めることが、生産性向上に向けた効果的なアプローチとなります。

まずは自社の物流倉庫において
工程間の待機や移動がどこで発生しているかを整理し
工程設計の見直しから着手してみてください。

  

▼トヨタ式改善を、物流現場でどう実践すればいいか知りたい方へ

本記事では、入荷改善において「工程設計から見直すこと」の重要性をお伝えしてきました。
一方で、「自社の現場では、どこから手を付ければいいのか」
「トヨタ式改善を物流にどう落とし込めばいいのか」と感じている方も多いのではないでしょうか。
当社が実践してきたトヨタ式改善の考え方と、物流現場での具体的な改善事例をまとめた
資料を無料で公開しています。
現場改善の視点整理や、次の一手を考えるヒントとしてぜひご活用ください。
営業部スタッフ( 監修: 営業部 部長)
営業部スタッフ( 監修: 営業部 部長)
2013年にアドバンスト・ロジスティックス・ソリューションズ株式会社の パートとして入社後、契約社員を経て正社員へ。 前職を含め物流業界歴は約14年。要冷食品物流センターで8年間、 QC活動をはじめとする現場改善に携わる。物流関連をはじめ資格を多数保有。 現場で得た視点をもとに、物流改善や品質向上に役立つ情報を発信している。 【監修者(2006年入社/営業部 部長)】 医薬品を中心に複数拠点のセンター長を歴任し、 現場運営からチームマネジメントまで幅広く担当。 トヨタ式改善を基盤に、安定稼働・原価低減・品質向上を実現。 前職では全国規模の物流再編プロジェクトにおいて新センター立ち上げを推進。 豊富な現場経験を活かし、物流現場の課題解決やネットワーク再構築に向けた 提案を実施している。

人気記事ランキング

タグ一覧