
在庫管理KPIとは?主要4指標の計算式と在庫削減・保管効率化の方法例を解説
物流倉庫において商品在庫は、顧客からの注文に応えるために欠かせません。
しかし、必要以上に持つと資金が滞留し、倉庫の保管スペースも圧迫してしまいます。
通路や作業場所への仮置きが増えれば、作業効率や安全性にも影響します。
一方、在庫を減らしすぎれば、欠品や販売機会の損失につながります。
適正在庫を保つには、在庫の状態を数値で継続的に確認することが必要です。
本記事では、在庫管理で押さえたい4つのKPIと計算式、設定・運用の手順を解説します。
目次[非表示]
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はじめに|在庫管理KPIとは
KPIとは、Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の略で
目標の達成状況を途中で確認するための指標です。
在庫管理では、過剰在庫、保管場所の不足、欠品などを数値管理するのに活用します。
本記事では、在庫管理における主要KPIとして
「在庫回転日数」「保管スペース使用率」「欠品率」「在庫差異率」の4つを解説します。

在庫管理における代表的なKPI例
在庫管理における代表的なKPIの例には下記のような4項目が挙げられます。
KPI | 基本的な計算式 | 確認できること |
|---|---|---|
在庫回転日数 | 平均在庫数÷1日当たり平均出荷数 | 何日分の在庫を保有しているか |
保管スペース | 使用中の保管容量÷使用可能な保管容量×100 | 倉庫の保管余力 |
欠品率 | 欠品した受注件数÷総受注件数×100 | 必要な商品を |
在庫差異率 | 在庫差異数の絶対値÷帳簿在庫数×100 | 帳簿在庫と実在庫のずれ |
在庫回転日数
在庫回転日数は、平均して何日分の在庫を保有しているかを表す指標です。
「平均在庫数÷1日当たり平均出荷数」で算出します。
在庫回転日数が長い商品は、出荷量に対して在庫数が多い可能性があります。
反対に、日数が短すぎる商品は、次の入荷までに在庫がなくなり、欠品する可能性があります。
在庫金額を基準にする場合は、「平均在庫金額÷1日当たり平均売上原価」でも算出できます。
商品別の見直しは数量基準、資金の滞留状況の確認は金額基準というように使い分けます。
適正な在庫回転日数は、販売量、季節性、調達期間、発注単位などによって変わります。
そのため、数値の長短だけで一律に判断せず、後述するT字分析などを使って商品別に確認します。
保管スペース使用率
保管スペース使用率は、使用可能な保管容量のうち
現在どの程度を使用しているかを表す指標です。
パレット数、棚間口数、ロケーション数、面積、容積など
倉庫の保管方法に合った単位で算出します。
分母には倉庫全体の面積ではなく、通路、荷役場所、事務所などを除いた
実際に商品を保管できる容量を使用します。
使用率が高くなると保管余力が小さくなり
入荷商品の格納場所不足や通路への仮置きが発生しやすくなります。
一方、使用率が低く、保管余力が大きい場合は
使用面積の縮小や別業務の取り込みを検討できます。
ただし、通常時の使用率だけで判断せず
季節変動、繁忙期、将来の物量増加に備えるスペースも考慮します。
保管スペースが不足している場合は
保管スペース使用率だけでなく、在庫回転日数も確認します。
在庫数そのものが多いのか、スペースを有効に使えていないのかを両面から調べることが重要です。
欠品率
欠品率は、受注した商品を在庫不足によって供給できなかった割合です。
「欠品した受注件数÷総受注件数×100」で算出します。
欠品率は、在庫削減によって必要な在庫まで減らしていないかの確認にも役立ちます。
商品別、期間別、発生理由別に集計すると原因を把握しやすくなります。
在庫差異率
在庫差異率は、システムや帳簿上の在庫数と、実際に倉庫にある在庫数とのずれを表します。
「在庫差異数の絶対値÷帳簿在庫数×100」で算出します。
在庫差異は、入出庫処理の漏れや誤出荷、破損、棚卸時の数え間違いなどによって発生します。
差異が大きいと、出荷引き当てがかかったものの、実際には商品がなく
出荷できないといった問題が発生する可能性があります。
在庫差異率や頻度が高い場合は定期棚卸や循環棚卸で差異を確認し
差異が発生した要因まで調べることが必要です。
在庫管理KPIを設定・運用する4つのステップ
ステップ1 優先課題を決め、確認するKPIを選ぶ
最初に、自社が優先して解決する課題を整理します。
すべてのKPIを同じ頻度や細かさで管理するのではなく
課題に対応するKPIから運用を始めると取り組みやすくなります。
現在の課題 | 優先して確認するKPIの例 |
|---|---|
保管スペースが不足している | ・在庫回転日数 |
欠品が多い | ・欠品率 |
ステップ2 計算方法と集計条件を統一する
同じ名称のKPIでも、対象商品や集計期間、在庫数を取得する時点が異なれば数値は変わります。
返品、保留品、不良品などを在庫へ含めるかも明確にし
在庫、調達、営業、生産などの関係部門で定義を統一します。
ステップ3 現状を把握して目標を設定する
一定期間KPIを集計し、現状値を把握してから目標を設定します。
過去実績だけでなく、商品の販売特性、調達期間、季節変動も考慮します。
全商品に同じ目標を適用するのが難しい場合は、販売量や調達条件が近い商品群に分けて設定します。
ステップ4 数値を定期的に確認して見直す
設定した頻度でKPIを集計し、目標値との差を確認します。
数値が悪化している商品や工程を特定したら
物流現場で実際の保管状況や作業方法を確認し原因に応じた対策を検討します。
対策後も同じ条件でKPIを確認し、効果が確認できた方法は標準作業へ反映します。
KPIで在庫管理の課題を把握した後の進め方
KPIからは、在庫数の増加、保管スペースのひっ迫、欠品、在庫差異といった問題の兆候を把握できます。
ただし、KPIの数値だけでは、見直す商品や原因まで特定できない場合があります。
数値が悪化している場合は、原因を確認し改善を進めます。
在庫回転日数が伸びている・保管スペース使用率が高い場合
在庫回転日数が伸びている、または保管スペース使用率が高い場合は
出荷量に対して在庫数が多い商品を特定します。
そのうえで、販売予定、季節変動、調達期間、発注単位、安全在庫などを確認し
削減できる在庫かを判断します。
具体的な在庫削減方法については、下記お役立ち資料で紹介しています。
欠品率が高い・在庫差異率が高い場合
欠品率または在庫差異率が高い場合は、問題が発生している商品を特定し
発生時期や工程を確認します。
欠品については、発注漏れ、販売量の急増、入荷遅延などの原因を確認します。
原因に応じて、発注点、発注量、補充頻度、安全在庫を見直し、対策後の欠品率を確認します。
在庫差異については、入荷、格納、ピッキング、出荷、返品などの
どの工程で差異が発生しているかを確認します。
原因に応じて、バーコードの活用、循環棚卸、作業手順の見直しなどを行い
対策後の在庫差異率を確認します。
KPIを継続的に確認し、対策前後の数値を比較することで、改善効果や新たな課題を把握できます。
事例紹介:食品取扱事業所の在庫適正化改善
預託在庫の過剰保管により倉庫スペースのひっ迫に悩んでいた事業所で
T字分析を活用して預託在庫の過不足を可視化し、適正在庫の実現に取り組みました。
T字分析は
左側に平均出荷数(1日あたりの出荷量)を
右側に平均在庫数(実際に倉庫にある平均在庫量)を
棒グラフで並べて比較し、在庫の過不足を視覚的に把握する分析手法です。

視覚化することでわかることは、
平均在庫数が多いのに平均出荷数が少ない商品→ 過剰在庫の可能性が高い
ということです。
このグラフを使えば、一目で「どの商品に無駄な在庫が多いのか」
また、「どの商品に欠品のリスクがあるのか」がわかり、優先的に改善すべき商品を効率よく特定できます。
その結果、在庫ケース数を35万ケースから32万ケースへ約8.6%削減し
倉庫スペースを改善することができました。
このように、当社では、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ持つ」という
トヨタ式改善のジャストインタイムの考え方を強く重視しています。
在庫管理KPIに関するよくある質問
Q.在庫回転日数は短いほどよいですか?
A.在庫回転日数は、必ずしも短いほどよいわけではありません。
日数が短すぎると、次の入荷前に在庫がなくなり、欠品する可能性があります。
欠品率、調達期間、発注単位、安全在庫などを踏まえて判断します。
Q.保管スペース使用率は低いほどよいですか?
A.保管スペース使用率は、必ずしも低いほどよいわけではありません。
使用率が低く、保管余力が大きすぎる場合は
現状の業務量に対して倉庫面積が過大な可能性があります。
繁忙期や将来の物量増加も考慮したうえで、使用面積の縮小や別業務の取り込みを検討します。
Q.KPIはどのくらいの頻度で確認すればよいですか?
A.確認頻度は、商品の特性や課題の緊急度によって異なります。
欠品や在庫差異が頻発している場合は、日次や週次で確認し
在庫回転日数や保管スペース使用率など、中長期的な傾向を見る指標は
週次や月次で確認するなど、目的に合わせた運用を心がけましょう。
在庫管理KPIに関するまとめ
在庫管理では、在庫回転日数、保管スペース使用率、欠品率、在庫差異率などを
継続的に確認することが重要です。
最初に優先する課題を明確にし
KPIの計算方法や集計条件を統一したうえで現状値と目標値を比較します。
数値が悪化している場合は、商品別や工程別に原因を確認し、対策後も同じKPIで効果を確認します。
当社では20年以上にわたる物流運営の経験から培った
様々なノウハウをお役立ち資料としてご紹介しています。
物流に関してお困りごとがございましたら、ぜひ一度ご活用ください。





