
物流BCPとは?対策の具体例と策定のメリットを簡潔に解説
地震や台風などの自然災害に加え、近年はサイバー攻撃やインフラ障害など、物流を取り巻くリスクは多様化しています。
これらの事象は、発生頻度こそ予測しづらいものの、一度発生すれば供給停止や取引影響といった重大な結果を招きます。
物流BCP(事業継続計画)とは、緊急事態においても「モノの流れ」を止めない、あるいは停止時間を最小化するための具体的な対応計画を指します。
単なる防災対策ではなく、事業継続や取引維持に直結する実務的な計画です。
※BCPとは: Business Continuity Plan(事業継続計画)の略称。災害や障害発生時でも、重要業務を継続、または可能な限り早期に復旧させるための行動計画を指します。
本記事では、物流BCPの基本的な考え方と具体策、策定によって荷主企業が得られる実務的なメリットについて整理します。
▼この記事を読んでわかること
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1.物流BCPの定義と一般的なBCPに「+α」で求められる視点
物流BCPは、一般的なBCPを置き換えるものではありません。
人命の安全確保や自社施設の保全といった一般的なBCPを前提としたうえで、物流機能に特化した視点を追加する計画です。
一般的なBCPは、事業を再開できる状態を確保することを主眼に置いています。
一方、物流BCPは、再開を待つのではなく、供給を止めない、もしくは止めても最短で再開することを目的とします
整理すると以下の関係になります。
- 一般的なBCP:事業再開に向けた基盤の確保
- 物流BCP:供給継続を前提とした実行計画
比較項目 | 一般的なBCP | 物流BCPで追加される観点 |
主な目的 | 人命の安全・自社施設の保全 | サプライチェーン(供給網)の維持 |
守る対象 | 点(自社ビル・工場・店舗) | 面(輸送ルート・ネットワーク全体) |
復旧の考え方 | 施設の修繕・再開 | 代替手段による供給の継続 |
工場や倉庫が無事であっても、輸送ルートや情報連携が寸断されれば供給は成立しません。
逆に、一部拠点に被害が生じても、代替手段を即座に取れる体制があれば、影響を限定できます。
物流BCPとは、一般的なBCPを実務レベルで補完する計画だと位置づけられます。
2.物流BCPにおいて優先すべき「3つの具体的リスク対策」

物流BCPでは、すべてのリスクに均等に備えるのではなく、影響度の高い要素から優先的に整理することが重要です。
代表的な対策は以下の3点です。
1)インフラ対策:拠点の分散と代替ルートの確保
特定拠点や特定ルートへの依存は、単一障害によって物流全体が停止するリスクを高めます。
- 代替輸送ルートの事前確保: 道路寸断時を想定し、鉄道・船舶など他モードへの切り替え可否を整理します。
- 物流拠点の分散: 1拠点集中を避け、被災していない拠点からの代替出荷が可能な体制を検討します。
- ハード面の減災対策: ラック転倒防止や非常用電源の確保など、被害拡大を防ぐ対策を講じます。
2)人員対策:初動対応の標準化と属人性の排除
災害時には、判断遅延や指示系統の混乱が発生しやすくなります。
そのため、個人の判断に依存しない運営体制が求められます。
- 初動対応手順の明確化:災害発生直後の対応を時系列で整理し、誰が対応しても同じ行動が取れる状態を作ります。
- 業務手順の共通化: 特定担当者に依存せず、誰が対応しても同じ基準・同じ手順で業務を継続できる体制を整えます。
- 優先業務の事前合意: 緊急時に優先すべき出荷・顧客を事前に整理し、関係者間で合意しておきます。
3)IT・システム対策:情報断絶を防ぐ仕組みづくり
物流は情報が途切れると機能しません。
- 物流システムのクラウド化: 拠点が使用不能になっても、別地点から在庫確認や出荷指示が行える体制を確保します。
- 通信手段の多重化: 携帯回線やインターネット障害を想定し、複数の連絡手段を用意します。
- データバックアップの徹底: サイバー攻撃やシステム障害を想定し、遠隔地へのデータ保管を行います。
3.物流BCP策定で荷主が得られる実務的なメリット

物流BCPは、緊急時対応に限らず、平時の管理や委託判断にも影響を与えます。
1)有事における状況把握と判断の迅速化
緊急時に最も問題となるのは、情報が把握できない状態です。
被災状況、出荷可否、復旧見込みが整理されていれば、荷主は次の判断を冷静に行えます。
情報が整理・共有されていること自体が、取引継続の前提条件になります。
2)委託先選定・継続判断の基準が明確になる
近年、多くの企業が委託先選定においてBCP対応状況を確認しています。
物流BCPが整理されていることは、継続的に委託できる体制かどうかを判断する材料となります。
3)平時の物流管理レベルの向上
BCP策定過程で行う業務整理やリスク洗い出しは、平時の改善にもつながります。
在庫配置や情報フローの見直しにより、結果として無駄の削減や業務の安定化が進みます。
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4.運用を前提とした物流BCPの考え方

物流BCPは、文書化するだけでは十分とは言えません。
現場で実行できるかどうかが重要です。
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これらを運用設計の中に落とし込むことで、実効性のあるBCPとなります。
5.まとめ:物流BCPは事業継続の基盤整理である
物流BCPは、緊急時の対応力を高めるだけでなく、
平時の物流管理や委託体制を見直すための整理手法でもあります。
自社単独での対応が難しい場合は、外部パートナーの知見を活用しながら、
現実的に運用できる形で整理することが重要です。
実効性のある物流BCPを構築するには、現場の運用設計にまで踏み込んだ専門的な知見が不可欠です。
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