
物流現場のSQCDを管理するKPIとは?重要性と指標例を解説
「安全は大事」「品質を上げたい」「もっと効率化したい」「納期を守りたい」
こうした言葉は、どの物流現場でも日常的に聞かれます。
しかし実際にはそれらをKPIとして管理できている現場は多くありません。
結果として、現場は感覚に頼った運営になりがちです。
本記事では、KPIの設定がなぜ重要なのか、
そしてS:安全、Q:品質、C:コスト(生産性)、D:デリバリーの各KPIについて
どのような項目を指標にすべきかを解説します。
物流KPIの設定方法と運用のポイントは別記事で解説しています。
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KPI設定が無いと起きやすい3つの問題
会話が感覚論になってしまう
KPIがないと現場は感覚論になりやすくなります。
例えば「危ない」「遅い」「ミスが多い」「納期が守れない」といった表現は
数量や頻度、度合などの具体的な数値がないままでは
各個人の尺度での評価になってしまい
問題認識のズレに繋がる可能性があります。
問題の原因が特定できない
KPIがないと、原因の特定が難しくなります。
例えば生産性が低くなるといった事象ひとつを見ても
・物量乖離(下振れ)による手待ちの発生
・出荷指図傾向変化による歩行動線の増加
・作業者の作業手順のバラつきによる作業効率低下
など様々な要因が考えられますが
KPIによる各数値がないと、仮説も立てづらくなります。
改善が場当たり的になる
原因が分からない状態では、改善も曖昧になります。
人員を増やす、注意喚起をするなど、
対症療法に頼るケースが増えます。
これでは本質的な改善にはつながりません。
結果として現場の負担が必要以上に増加してしまうリスクがあります。
なぜKPIの設定が重要なのか
現場の状況を可視化するため
KPIの最大の役割は、現場状況の可視化です。
感覚で語っていた内容を、数値で把握できます。
例えば「作業が遅い」ではなく「1件あたりの作業時間が〇分」
「納期遅延が多い」ではなく「納期遵守率〇%」と言える状態です。
これにより、現場の実態が明確になり、変化点を捉えやすくなります。
目標値と実績の乖離を把握するため
KPIの設定ができると目標値との乖離を把握することができます。
例えば「目標生産性120件/mhに対し当週実績が100件/mh(△20件/mh)」など
SQCD各項目のあるべき姿と現状のギャップを定量的に把握することで
次になにを改善すべきかが明確になります。
社内の共通言語になるため
KPIは、組織内の共通言語にもなります。
現場、管理職、経営層で同じ数値をもとに議論ができます。
これにより、認識のズレが減り
結果として、意思決定のスピードが上がります。
なぜ「S・Q・C・D」で管理をするのか
KPIを安全・品質・コスト・デリバリーの4つの分類を軸とするのは
この4つ分類で物流現場の状態をバランスよく把握できるためです。
- 安全:事故や労働災害のリスク管理
- 品質:誤出荷やクレームの抑制
- コスト:作業効率やコスト最適化
- デリバリー:納期遵守やリードタイム管理
そのため、KPIの導入を検討する場合は
安全・品質・コスト・デリバリーの項目をベースに自社に合ったKPI を設定することが好ましいです。
各分類ごとの代表的なKPI項目

ここでは各分類ごとでの代表的なKPI項目例を解説します。
安全に関する代表的なKPI項目
安全に関するKPI項目は
事故・災害の発生個所や内容を把握し
再発防止や新たな事故の未然防止に繋げるための項目を
設定することが大切です。
例えば以下のような指標があります。
- 工程別事故災害発生件数
- 工程別ヒヤリハット発生回数
など
災害・事故の発生件数だけでなく前段階を捉えることが重要です。
品質に関する代表的なKPI項目
品質に関するKPIは、マーケットクレーム(外部に流出したミス)と
ヤードクレーム(内部で発覚し対処したミス)に分けて項目を設定しましょう。
ヤードクレームを把握することでマーケットクレームの未然防止が可能になります。
代表的な指標は以下です。
- 誤出荷率(マーケットクレーム)
- 庫内誤ピッキング率(ヤードクレーム)
- 汚破損率
- 再作業発生件数
など
また、品質に関するKPIは件数だけでなくPPM(parts per million)で評価することが重要です。
PPMで品質を評価することで作業物量の異なる他拠点との比較が可能になります。
【PPM(parts per million)】
総数に対する割合を百万分の一で表した単位
計算式 : 発生件数÷総作業件数×1,000,000
コストに関する代表的なKPI項目
コスト(生産性)は1作業あたりの作業コストを整理するのに非常に有効なKPI項目です。
代表的な指標は以下です。
- 予定作業物量(上流・下流からのフォーキャスト物量)
- 実績作業物量
- 作業工数
- 作業生産性(物量÷工数)など
作業物量を予定物量と実績物量の両軸を把握すると
物量乖離による作業効率への影響を把握することができます。
また、各指標を各作業工程でそれぞれ設定することで
どこで作業効率が低下しているのかを把握しやすくなります。
デリバリーに関する代表的なKPI項目
デリバリーに関するKPIは、納期遵守やリードタイムの安定性を把握し
顧客満足度の向上に繋げるための重要な指標です。
代表的な指標は以下です。
- リードタイム(受注〜出荷までの時間)
- 出荷遅延件数
- 作業完了予定と完了実績
納期遅延の結果だけでなく、リードタイムのばらつきなど
プロセス全体を捉えることが重要です。
KPI設定で現場はどう変わるのか
KPIの導入により現場は「感覚管理」から「数値管理」へと変わります。
これまで曖昧だった現場の状態が、数値によって明確になります。
例えば、生産性が低い要因や品質不良が発生している工程などが可視化されます。
その結果、ボトルネックの特定が容易になります。
さらに、改善すべき優先順位も整理されるため、
限られたリソースの中で効果の高い施策を打つことが可能になります。
KPIは単なる管理指標ではなく、改善活動の起点となる重要な要素です。
よくあるご質問(Q&A)

Q. KPIはどこまで細かく設定すべきですか?
まずはシンプルな項目で問題ありません。
たとえば、安全は災害事故件数、品質はクレーム件数、コストは総就業生産性など
大きなKPI項目を設定し、必要に応じて運用しながら改善することが重要です。
Q. 数値が取れない場合はどうすればよいですか?
取得可能な指標から始めます。
KPI管理の運用をしていきながら、少しづつ追加・改善していきましょう。
完璧を目指す必要はありません。
Q. 各KPIに優先順位はありますか?
優先順位はなく、バランスが重要です。
安全・品質・コスト・デリバリーはセットで管理します。
Q. KPIを設定するだけで改善は進みますか?
KPIを設定するだけでは改善はしません。
KPI設定によって現場を可視化することで改善案の明確化と
改善効果の定量的な評価が可能になります。
Q. KPIはどのように設定すればよいですか?
KPIの設定方法については、下記記事で解説しています。
物流KPIの設定に関する記事はこちら
まとめ|KPIは現場改善のスタートライン
物流において安全・品質・コスト・デリバリーは重要な管理項目です。
しかし、KPIがなければ管理はできません。
KPIを設定することで現場が可視化され改善活動が具体化します。
そして、社内の共通言語が生まれます。
まずは「何を測るか」を理解すること。
そこから、現場改善が始まります。
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