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アパレル物流の委託で失敗しないために

アパレル物流の複雑さに頭を悩ませていませんか。

アパレル物流は、商品特性やチャネルの多様化により、オペレーションが複雑化しやすい業界です。
そのため、物流業務を3PL(サードパーティーロジスティクス)企業に委託することで
物流業務による負担軽減をねらう企業も増えています。

本記事では、アパレル物流を委託する際に押さえておくべき基礎知識や
委託によるメリット・デメリット、委託先選定で大切なポイントまでを解説します。

目次[非表示]

  1. 1. アパレル物流を委託する前に知っておきたい基礎知識
  2. 2. アパレル物流を委託するメリット
    1. 1) コストを最適化できる
    2. 2) 安全・品質・生産性など各KPIの向上
    3. 3) 自社リソースをコア業務に集中できる
  3. 3. アパレル物流を委託するデメリット
    1. 1)品質基準や顧客対応ルールの明確化が必要
    2. 2)ブランド体験の再現が難しい
    3. 3)コミュニケーションや情報連携の負荷
  4. 4. アパレル物流を委託する際に押さえるべき3つのポイント
    1. 1)委託範囲を明確にする
    2. 2)コスト構成を把握する
    3. 3)品質基準・KPIを設定する
  5. 5. 物流パートナー選定の5つのポイント
  6. 6. まとめ

1. アパレル物流を委託する前に知っておきたい基礎知識

アパレル物流は特徴的で下記のような特性があります。

• 複数のサイズ・カラー展開があるためSKU数が膨大で保管やピッキングが煩雑になりやすい
• 店舗配送やECなどの複数のチャネルへの対応が必要
• 値札の張り替えやセット組などの物流加工業務が発生しやすい
• 季節ごとの新作入れ替えやセール・返品対応など、物量波動への対応力が必要不可欠

また、このような特性から、アパレル物流では以下のような課題が発生しやすくなっています。

• 複雑な物流オペレーションを管理しきれない
• 出荷波動(繁忙期・閑散期)の波が大きく、生産性が安定しない
• 年々上昇する人件費によって物流コストが増加しつづけてしまう
• 在庫や返品処理に関する管理精度が低い
• 物流業務に自社リソースが必要で製造や販売などのコア業務への対応ができない

こうした課題への対策の選択肢の1つが、物流業務の3PL企業への委託です。

物流委託の概要については下記お役立ち記事にてご説明しております。

2. アパレル物流を委託するメリット

1) コストを最適化できる

アパレル物流は、セールやシーズン商品の入れ替えによって作業量が大きく変動します。
自社運営では繁忙期に人員を増やす必要があり、閑散期には余剰人員のコストがかかります。

3PLに委託すれば、作業量の変動に応じた配員が可能です。
繁忙期には増員、閑散期には調整することで、作業費を変動費化でき、コスト効率の向上が見込めます。

これにより、固定費に縛られず、季節変動や販売計画に柔軟に対応できます。

2) 安全・品質・生産性など各KPIの向上

専門の物流事業者は、アパレル特有の作業フローや品質管理に精通しているため
適切な作業手順と教育体系により、事故災害発生率や誤出荷率、返品率の低減が期待できます。

また、作業標準化により、安全品質だけでなく生産性も安定します。
例えば、ピッキングや検品の効率化、SKUごとの保管最適化により結果として
労務費上昇の抑制だけでなく顧客満足度向上や販売機会損失の回避につながります。

3) 自社リソースをコア業務に集中できる

物流業務の管理は日々の配員調整や作業進捗の確認、教育など、多くの時間と手間が必要ですが
3PLに委託することで、こうした日常業務の負担を大幅に削減できます。

その結果、販売戦略や商品企画、製造管理など、企業のコア業務に自社リソースを集中できます。
本来注力すべき業務に時間を割けることで、事業成長のスピードを高めることが可能です。

3. アパレル物流を委託するデメリット

1)品質基準や顧客対応ルールの明確化が必要

委託先と運用フローやKPIを決める際には、付帯業務や品質基準、顧客対応ルールの明確化が必要です。

「梱包時は品番・サイズ・カラー順で並べる」、「ハンガー商品は最後に梱包箱に入れる」など
独自の品質基準や顧客対応ルールがある場合、委託先に正確に伝える必要があります。
特に梱包仕様や返品処理ルール等は、委託先と認識のズレがあるとトラブルにつながることもあります。

2)ブランド体験の再現が難しい

アパレル物流は単なる物の流通ではなく、「ブランド体験」そのものを届ける業種です。
梱包の見せ方や同梱物、開封時の印象など、消費者との接点の質がブランドイメージを左右します。

外部委託では、こうした感性的要素が標準化の中で埋もれてしまうことがあり
「自社らしさの表現力」や「店舗・ECの一体感」が損なわれることがあります。

委託先を選ぶ際は、単に「物流品質」だけでなく、「ブランド理解度」を見極めることが重要です。

3)コミュニケーションや情報連携の負荷

在庫情報や受注データを定期的に共有する仕組みを整える必要があります。

特に入荷や出荷の作業物量に関する情報連携は非常に重要です。
委託先との情報共有体制の構築を怠ると、余剰物流コストの発生や誤配送、出荷遅延の原因となります。

4. アパレル物流を委託する際に押さえるべき3つのポイント

3PLへの委託によるメリット・デメリットを踏まえ
次のようなポイントを考慮して要件を整理していくことが成功の鍵となります。

1)委託範囲を明確にする

保管・入出庫・ピッキングに加えて、検品・値札付け・返品処理など
どこまでを委託対象とするかを定義します。

入荷から出荷までをワンストップで行える3PLを選ぶことで業務効率の向上が見込まれます。

2)コスト構成を把握する

アパレル物流のコストは、保管料・庫内作業費・配送費を中心とした複数の要素で構成されています。
委託検討の際には、これらの費用を一体的に把握することが重要です。

単に作業単価を比較するのではなく、「どの業務範囲にどの程度のコストがかかるのか」
「繁忙期・閑散期でどの部分が変動するのか」といった観点で総コストを可視化し
固定費と変動費のバランスをシミュレーションしましょう。

このようにコスト構造を正確に把握することで
委託後に「想定外の費用増加が発生する」「繁閑差でコストが安定しない」といったリスクを
未然に防ぐことができます。

3)品質基準・KPIを設定する

各作業の生産性や出荷精度、返品処理リードタイムなど委託後の評価基準を明確にし
委託による効果が確認できる環境を整えておきましょう。

また、品質基準を設定することで委託後の企業間トラブル防止にもつながります。

5. 物流パートナー選定の5つのポイント

物流パートナー選びでは、「コスト」だけでなく「実績」や「運営力」、「改善力」などを
総合的に判断することが大切です。

以下の5つの観点を中心に比較検討をするのも効果的です。

・ アパレル物流の実績 : 同業種での運用経験やブランド理解力、SKU数・出荷件数の対応実績
・ 設備・システムへのノウハウ : WMSや自動化設備などへのノウハウ・運用経験の有無
・ 柔軟な運用体制 : 返品作業や物流加工作業など多様な対応が可能かどうか
・ 提案力・改善力 : 単なる作業受託ではなく、改善提案を継続的に行う企業風土があるどうか
・ 情報共有体制 : 定例会議・レポート報告など、透明性の高い運営体制

6. まとめ

アパレル物流の委託先は、単なる外注先ではなく「物流戦略のパートナー」です。

3PLを活用することで、変動する需要への柔軟対応や
品質の向上、コストと生産性の最適化を同時に実現することが可能です。
まずは、自社が抱える課題と委託の目的を明確化することから始めましょう。

当社は10年近くにわたるアパレル物流の実績のなかで
繁忙期・閑散期への対応や作業標準化、情報共有体制の構築だけでなく
荷主企業様と共同でのRFID導入検証などの更なる業務効率化の支援も
トヨタ式改善による物流最適化と併せてご提案し続けています。

「今の物流体制で本当に大丈夫か」をチェックしたい方は、まずはお気軽にご相談ください。


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営業部主任( 監修: 営業部 部長)
営業部主任( 監修: 営業部 部長)
2020年にアドバンスト・ロジスティックス・ソリューションズ株式会社へ入社し 営業部へ配属後、小売・アパレル業界の企業様を中心に 物流最適化や新センター立上を支援。 大手コンビニチェーンにおける物流改善プロジェクトにも複数回携わり、 現場課題の解決と効率化を推進。 【監修者(2006年入社/営業部 部長)】 医薬品を中心に複数拠点のセンター長を歴任し、 現場運営からチームマネジメントまで幅広く担当。 トヨタ式改善を基盤に、安定稼働・原価低減・品質向上を実現。 前職では全国規模の物流再編プロジェクトにおいて新センター立ち上げを推進。 豊富な現場経験を活かし、物流現場の課題解決やネットワーク再構築に向けた 提案を実施している。

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