catch-img

食品物流の課題と改善ポイント|低温・冷凍倉庫で成果を出すための基本

「温度管理が厳しくてミスが怖い」
「賞味期限やロットが複雑で作業が安定しない」
「人手不足で現場の負荷が高い」

食品の物流に関わっていると、このような悩みが絶えないのではないでしょうか。

特に低温・冷凍倉庫は作業環境が過酷で
現場の改善をしたくても、どこに手をつければ良いのか迷いがちです。

この記事では、食品物流がなぜ難しいのか、
現場でよくある課題と改善策を、わかりやすく解説します。

▼食品物流運営でお困りではありませんか?
まずは現場をチェックして改善ポイントを確認できるチェックリストを作成しました。
>【無料】現場の改善ポイントを一目で確認できる!食品物流改善チェックリストダウンロード

 

 

目次[非表示]

  1. 1.食品物流が難しい理由と、改善すべき6つのポイント
    1. 1) 在庫がキャパオーバーしやすい
    2. 2) 波動対応の難しさ(季節変動・曜日波動・急なオーダー)
    3. 3) 商品の入れ替わりが激しく、管理負荷が高い
    4. 4) 温度管理の難しさ(動線・滞留・温度逸脱)
    5. 5) 賞味期限・ロット管理が複雑になりやすい
    6. 6) 低温環境は生産性が落ちやすい
  2. 2.食品物流で3PLを活用するメリット
  3. 3.よくあるご質問
    1. Q. 類似商品が多くて誤出荷が起こりやすいのですが、防止策はありますか?
    2. Q. ロット混在や賞味期限切れを減らすにはどうすればいいですか?
    3. Q. 波動(繁忙日)に作業が追いつきません。何から改善すべきですか?
  4. 4.まとめ:食品物流はポイントを押さえよう

▼関連記事
>物流品質向上の5つの改善ポイント|現場で成果を出す具体的ステップ
>物流KPIを設定できずに悩むあなたへ。現場を動かす“見える数字”のつくり方
>物流現場に活かすトヨタ式改善とは?"カイゼン"の考え方と事例

  

1.食品物流が難しい理由と、改善すべき6つのポイント

1) 在庫がキャパオーバーしやすい

食品物流では、キャンペーンや特売、新商品の立ち上がりによって入荷量が急増し
保管キャパを超えやすい特徴があります。

さらに ベンダーとの情報共有が不十分だと、予定以上の商品が入ってくる ことも多く
置き場不足・一時置き・ロケーション乱れが生じやすくなります。

この状態が続くと動線が悪化し、作業効率が落ちるだけでなく、
誤出荷や作業遅延の原因になります。

そのため、レイアウト設計・在庫データ管理・ベンダー調整を組み合わせて行うことが重要です。

【改善ポイント例】

  • 保管棚レイアウトを見直し、最適化する

  • 在庫分析で滞留在庫を可視化し、保管量を最適化する

  • ベンダーと入荷量・頻度・タイミングを調整する仕組みをつくる

  

▼倉庫のレイアウト設計については下記の記事で詳しく解説しています。

 

▼在庫分析については下記の記事で詳しく解説しています。

  

 

2) 波動対応の難しさ(季節変動・曜日波動・急なオーダー)

食品物流では、気温・季節・キャンペーン・曜日などで出荷量が大きく変動します。

この“波動”が読みにくいことが、現場の負荷を高め、
遅延や誤出荷につながる大きな要因です。

特に低温・冷凍倉庫では作業者の確保が難しく、波動日に弱い傾向があります。

さらに、波動日には短期の派遣スタッフや単発作業者を採用するケースも多く、
短期間で作業に慣れてもらう仕組みがあるかどうかで、
現場の安定度が大きく変わります。

当社では、初日から安全に作業できるよう、
ワンポイント集やポケットマニュアルを使い、 新人がすぐに戦力化できる教育仕組みを整えています。

【改善ポイント例】

  • 過去データをもとに需要予測を可視化する

  • 繁閑差に合わせた柔軟なシフト設計を行う

  • 複数工程を担当できるクロススキルを育成する

  • 短期間作業者向けのマニュアルや教育フローを整備する

  • 波動日を想定した標準作業を準備しておく

  

3) 商品の入れ替わりが激しく、管理負荷が高い

食品は季節・トレンド・キャンペーンによって取り扱い商品が頻繁に変わります。
新商品が続々と入荷し、終売や仕様変更も日常的に発生します。

この“商品サイクルの早さ”により、
現場では識別作業や在庫管理が複雑になり、誤出荷のリスクが高まります。

特に新旧商品が並ぶ期間は、ラベルの違いや外観の類似で
判断ミスが起きやすくなります。

【改善ポイント例】

  • 新商品・終売商品の事前共有ルールを整える

  • 新旧商品の混在期間を短くする運用を設計する

  • 類似商品の識別ポイントを作業者へ可視化する

  • SKU変動に対応できる棚割・ロケーション管理を行う

 

4) 温度管理の難しさ(動線・滞留・温度逸脱)

冷凍庫やチルド倉庫では、わずかな温度変動が品質に影響します。

特に庫内前の滞留は温度逸脱の大きな原因となり、
作業状況によっては商品温度が急上昇することもあります。

食品物流では、温度管理が品質の維持に直結し、対策をしない限りリスクは増大し続けます。

【改善ポイント例】

  • 温度帯ごとの動線を分けて滞留を防ぐ

  • 積み替え時間を短縮するレイアウトに改善する

  • 滞留時間・庫内温度をKPIとして継続的に監視する

 

5) 賞味期限・ロット管理が複雑になりやすい

食品物流で特に課題になりやすいのがロット管理です。

ロット混在は誤出荷・過剰在庫・廃棄の原因になり、
改善しない限り現場の負荷は上がり続けます。

そこで重要なのが、 賞味期限を優先した「先入先出法」を徹底することです。

特別な棚の分割をしなくても、 次の運用改善だけで精度が大きく上がります。

【改善ポイント例】

  • 棚入れ時のロット・賞味期限スキャンの徹底

  • ピッキング指示を賞味期限順に自動ソート

  • 滞留日数をKPI化し、古いロットを優先出荷として可視化

これらを行うと、ロット混在が減り、 結果として 廃棄・過剰在庫を大幅に抑えられます。

6) 低温環境は生産性が落ちやすい

冷凍庫内は過酷な環境のため、長時間作業ができません。

結果としてピッキング精度の低下やスピードダウンが起こり、
生産性が安定しにくい特徴があります。

低温帯特有の制約を踏まえた改善が必要です。

【改善ポイント例】

  • 冷凍庫内滞在を短縮できる動線設計にする

  • バッチピッキング(※)で効率よく作業する

  • 防寒具・台車・スキャナーなどの作業機器を最適化する


※バッチピッキングとは?:複数の注文(オーダー)をまとめて一度にピッキングする方法です。

  

2.食品物流で3PLを活用するメリット

食品物流ならではの課題も、食品に強い3PLならまとめてカバーできる場合が多いです。

  • 誤出荷が減る(似た商品・ラベル違いの取り違え対策が整っている)

  • 新人でも作業品質が安定する(標準化されたマニュアルと運用)

  • 繁忙日でも止まりにくい(波動予測・応援要員の仕組みがある)

  • 廃棄やロット混在が減る(FEFO運用・滞留管理が仕組み化されている)

  • 温度逸脱が起きにくい(低温物流に特化した動線・滞留管理のノウハウ)

食品物流は専門性が高いため、運営ノウハウがあるかどうかが
立ち上がりのスピードや品質の安定性や生産性に大きく影響します。

▼食品物流運営でお困りではありませんか?
まずは現場をチェックして改善ポイントを確認できるチェックリストを作成しました。
>【無料】現場の改善ポイントを一目で確認できる!食品物流改善チェックリストダウンロード

 
  

 

3.よくあるご質問

Q. 類似商品が多くて誤出荷が起こりやすいのですが、防止策はありますか?

A.商品ラベルの識別ポイントを明確にし、棚割りを整理することが効果的です。
ハンディのスキャン必須化や、取り違えが起きやすいSKUの“注意ラベル”も有効です。


Q. ロット混在や賞味期限切れを減らすにはどうすればいいですか?

A.棚入れ時の賞味期限スキャンと、出荷指示の“賞味期限順の並び替え”が基本です。
滞留日数をKPI化して管理すると、期限切れリスクが大きく減ります。


Q. 波動(繁忙日)に作業が追いつきません。何から改善すべきですか?

A.波動の原因(曜日・天候・キャンペーン)を分析し、必要人数や前倒し作業を計画するのが効果的です。
多能工化や応援人員の確保も安定運用につながります。

また、波動日には短期スタッフや単発作業者が作業に加わることも多いため、
短期間で作業を理解してもらえる教育仕組みの有無が現場の安定度に直結します。

 

4.まとめ:食品物流はポイントを押さえよう

食品物流は、温度・ロット・SKU・波動など多くの要素が絡み合うため、
一見とても複雑に見えますが、課題の多くは次のポイントに集約されます。

  • 波動(季節・曜日・キャンペーン)を前提に、人員と作業設計を整えること

  • 商品入れ替わりによる識別ミス・誤出荷を防ぐ仕組みをつくること

  • 温度管理(動線・滞留)を安定させ、品質リスクを抑えること

  • 賞味期限とロットを「先入先出」で管理し、廃棄・過剰在庫を減らすこと

  • 低温環境でも生産性を維持できる動線設計・作業方法を整えること

これらを一つずつ整えていくことで
品質トラブルや誤出荷が減り、コストも着実に改善していきます。

また、当社では、食品物流に特化した次の取り組みを徹底しています。

🔸 在庫分析とデータにもとづくキャパシティ最適化
🔸 専門部署によるレイアウト設計・動線改善
🔸 単発・派遣作業者でも初日から働ける教育体制(ワンポイント集・ポケットマニュアル他)
🔸 繁忙日にも強いセンター運営の仕組み化

今日取り上げたポイントを「現場のチェックリスト」としてまとめましたので
ぜひご活用ください。


>【無料】現場の改善ポイントを一目で確認できる!食品物流改善チェックリストダウンロード

 
  

自社だけで改善が難しいと感じた場合は、食品物流に強い3PLに相談することで
立ち上がりスピードと改善の精度が大きく変わりますので
ぜひお気軽にご相談ください。

食品業界を含め、多岐にわたる業界での実績を持つ当社が

貴社の現場の負担を減らしながら最適な物流センターを実現するソリューションをご提供します。
>トヨタ式物流改善ノウハウをまとめた会社紹介資料ダウンロード【無料】はこちら

  

営業部スタッフ( 監修: 営業部 部長)
営業部スタッフ( 監修: 営業部 部長)
2013年にアドバンスト・ロジスティックス・ソリューションズ株式会社の パートとして入社後、契約社員を経て正社員へ。 前職を含め物流業界歴は約14年。要冷食品物流センターで8年間、 QC活動をはじめとする現場改善に携わる。物流関連をはじめ資格を多数保有。 現場で得た視点をもとに、物流改善や品質向上に役立つ情報を発信している。 【監修者(2006年入社/営業部 部長)】 医薬品を中心に複数拠点のセンター長を歴任し、 現場運営からチームマネジメントまで幅広く担当。 トヨタ式改善を基盤に、安定稼働・原価低減・品質向上を実現。 前職では全国規模の物流再編プロジェクトにおいて新センター立ち上げを推進。 豊富な現場経験を活かし、物流現場の課題解決やネットワーク再構築に向けた 提案を実施している。

人気記事ランキング

タグ一覧