
物流倉庫自動化の進め方|どこから始める?5つの判断基準
「倉庫を自動化したいが、どの工程から始めればよいか分からない」「設備を導入して、本当に省人化できるのだろうか」
このような悩みを抱える物流担当者は少なくありません。
倉庫自動化では、まず「重い・長い・多い」に該当する、負荷の高い工程に注目します。
そのうえで、現場改善の余地や前後工程への影響などを確認し、
自動化する工程の優先順位を決めることが重要です。
この考え方は、既存センターの改善だけでなく、新規センターの計画にも活用できます。
新規センターの場合も、現在の作業方法や物量を確認することで、
必要な設備や自動化すべき工程を判断しやすくなります。
この記事では、自動化に向く工程・向かない工程の特徴と、優先順位を決める5つの判断基準を解説します。
▼自動化の候補工程を絞り込んだ後は、必要な設備能力や投資規模を確認しましょう。
「導入前ROIチェック付き・失敗しない物流DXの進め方」では、
設備導入前に確認したいROIの視点を解説しています。
>【無料】導入前ROIチェック付き!失敗しない物流DXの進め方をダウンロードする
倉庫自動化は「負荷の高い工程」を見つけることから始める
倉庫自動化では、まず現場で負荷が集中している工程に注目し、自動化の候補を整理します。
特に確認したいのは、次の3つです。

例えば、作業者が同じ区間を何度も往復している場合、搬送方法や商品の置き場に改善の余地があります。
また、重量物を繰り返し運んでいる場合は、搬送設備の導入候補になります。
作業の候補が見つかったら、次の項目を確認しましょう。
- 1日に何回行っているか
- 1回あたり何分かかるか
- 何人で対応しているか
- 通常期と繁忙期で物量がどれだけ変わるか
- 前後の工程で待ちや滞留が起きていないか
まずは一つの工程から、作業回数や時間を確認します。
それだけでも、自動化の優先順位を考えやすくなります。
▼倉庫自動化の種類やメリット・デメリットは、以下の記事で解説しています。
自動化に向いている工程と向かない工程
自動化に向いているのは、同じ作業を繰り返し、手順を標準化しやすい工程です。
物流倉庫での作業では、搬送、検品、格納、ピッキング、仕分け、梱包などが候補になります。

自動化に向いている工程
- 同じ動作を繰り返している
- 作業手順を標準化できる
- 一定の処理量がある
- 搬送距離が長い
- 重量物を扱っている
- 作業時間や効果を数値で測れる
自動化を急がないほうがよい工程
- 商品ごとの例外処理が多い
- 作業者によって手順が異なる
- 荷姿や物量の変化が激しい
- 探す、待つ、運ぶなどのムダが残っている
- 前後工程の処理能力が不足している
- 状況に応じた判断が欠かせない
例えば、機械には、反復作業や重量物搬送を任せ
人には、判断、異常対応、改善、急な物量変動に対応するのが理想です。
このように、すべてを機械に置き換えるのではなく、互いの強みを生かすことが重要です。
自動化する工程の優先順位を決める5つの基準
自動化の候補が複数ある場合は、次の5つの基準で比較します。
ここでの目的は、設備投資の可否を決めることではなく、
どの工程を優先して具体的な検討へ進めるかを絞り込むことです。
現場への負荷や工数、前後工程への効果などを踏まえて優先順位を決めましょう。

1.作業者への負荷が高いか
重量物の運搬や長距離の歩行が多い工程や、低温・高温環境や夜間作業など、身体的な負担が大きい工程は
自動化を優先的に検討したい候補です。
こうした工程を自動化すれば、作業負荷の軽減に加え、安全性の向上や人材の定着にもつながります。
作業時間だけでなく、重量、移動距離、作業環境も含めて優先度を判断しましょう。
2.多くの工数がかかっているか
配置人数だけでなく、1回あたりの作業時間と1日の発生回数を確認します。
短時間の作業でも、繰り返す回数が多ければ、工程全体では大きな工数になります。
候補工程ごとに「作業時間×発生回数×対応人数」を整理すると、自動化による効果を比較しやすくなります。
手待ちや探し物など、設備を使わずに削減できる時間は分けて考えましょう。
3.現場改善だけでは限界があるか
大きな自動化設備を導入する前に、商品の置き場や作業動線を見直すことで
歩行や搬送の工数を減らせる場合があります。
二重検品や不要な仮置きなど、作業そのものをなくせないか確認することも大切です。
設備を導入する前に改善を進めることで、自動化が必要な範囲を小さくできます。
そのうえで残る反復作業や高負荷作業を、自動化の対象として検討しましょう。
4.前後工程を含めて効果が出るか
一つの工程だけを高速化しても、倉庫全体の生産性が上がるとは限りません。
例えば、ピッキングを高速化しても、梱包や出荷が追いつかなければ
次工程の前に商品が滞留してしまい、
結果として作業スペースや動線が圧迫され、現場全体の効率が下がることもあります。
工程単体の処理件数だけでなく、入荷から出荷完了までのリードタイムで効果を判断しましょう。
5.通常物量でも設備を活用できるか
候補工程ごとに、通常期と繁忙期の物量を確認します。
繁忙期の最大物量に合わせて設備能力を決めると、通常期に能力が余ることがあります。
通常期にも一定の処理量があり、設備の安定稼働を見込める工程ほど、自動化の候補として検討しやすくなります。
▼設備の種類や投資効果については以下の記事をご覧ください。
自動化する工程を絞り込んだ後に確認すること
自動化の候補工程を絞り込んだ後は、設備選定に必要な条件を整理します。
候補工程の作業方法や動線を見直し、設備を使わずに減らせる工数と、自動化が必要な作業を分けましょう。
そのうえで、前後工程の処理能力や通常期・繁忙期の物量差を確認し、必要な設備能力を検討します。
▼設備導入前の現場改善や、人と機械の役割分担、投資効果の考え方については
以下の記事で詳しく解説しています。
負荷の高い搬送工程に絞って自動化した事例
当社が運営する食品低温センターでは、約150kgの荷物を繰り返し手押ししていました。
低温環境での重量物搬送は身体的な負荷が大きく、人材の定着も課題でした。
そこで、すべての作業を機械化するのではなく、負荷の高い搬送工程に絞ってAGVを導入することで
搬送作業の負荷が減り、作業者はピッキングや仕分けなどに集中できる体制となりました。
これは、現場の負荷軽減と生産性向上を両立した事例です。
自動化では、機械に任せるべき工程を正しく見極めることが重要です。
▼搬送設備を検討している方は以下の記事をご覧ください。
倉庫自動化に関するよくある質問
倉庫自動化はどの工程から始めるべきですか?
長距離搬送、重量物の取り扱い、反復作業などが主な候補です。
ただし、動線や商品の置き場を変えて、作業自体を減らせないかを先に確認することが
過剰投資を防ぐために重要です。
小規模な倉庫でも自動化できますか?
小規模な倉庫でも自動化できます。
ハンディターミナルやデジタルピッキング、部分的な搬送自動化など、対象工程を絞った方法があります。
繁忙期の最大物量に合わせるべきですか?
必ずしも最大物量に合わせる必要はありません。
繁忙期は人員配置や運用方法の変更、多能工化などで対応する方法もあります。
まとめ|自動化する工程は5つの基準で選ぶ
倉庫自動化では、設備の種類を選ぶ前に、自動化の対象となる工程を見極めることが重要です。
今回のポイントを振り返ります。
「重い・長い・多い」に該当する工程から候補を探す 反復性が高く、作業手順を標準化しやすい工程を選ぶ 作業負荷や工数など、5つの判断基準で候補を比較する 工程単体ではなく、前後工程への効果も確認する 通常期にも一定の稼働を見込める工程を選ぶ
自動化すべき工程を的確に見極めることで、必要な設備や投資規模を検討しやすくなります。
▼まずは自社で検討を進めたい方へ
人と機械の役割や物量の波動まで踏まえて計画することが重要です。
「失敗しない物流DXの進め方」では、導入前のROIチェックから現場改善、
▼自社に合った自動化の進め方を相談したい方へ
具体的な判断にお悩みの場合は、当社へご相談ください。
専門部門が現場の作業や物量を整理し、現場改善と設備導入の両面から、倉庫全体に合った自動化計画をご提案します。




